相続が絡む居住権について


相続でも居住権という言葉がしばしば使われますが、相続における居住権にはどのような意味があるのでしょうか。見ていきたいと思います。

 

 

居住権とは何か?

居住権とは法律用語としての定義がないようで、いろんな場面で使われるようです。ただ、相続との関係で居住権を使う場面を見てみると、多くは賃貸住宅などで、賃借権がなくなった後も、継続して居住できる権利のことを言うことが多いようです。

 

 

たとえば、代表的な例をあげると、他人が所有する家屋に住む場合には、通常賃借権が必要となり、双方が合意のもと賃貸借契約を結びます。この賃借権は、賃貸借契約期間が過ぎたとしても、通知等が無ければ更新が法律上も保障されます。双方の関係が良好であれば、10年以上も賃貸借が続くのも、賃借権が消滅せず継続している証です。

 

 

また、賃借人(夫)が死亡したとしても、賃借人の相続人(妻)が賃貸借契約の権利・義務を相続できます。そのため賃借権、賃貸借契約は消滅しませんし、賃借人の相続人(妻)の居住権も守られているのです。

 

 

内縁関係の夫婦にも居住権は適用される

この居住権ですが、事実上の夫婦の間のみで守られているものと思われていたものですが、過去の判例などで、内縁関係の夫婦でも認められる場合があります。

 

 

ただ、この場合は、その建物が生活の基盤となる居住用のものであり、被相続人(内縁の夫)に相続人がいないことが条件となっているようです。内縁の夫に相続人がいると、法的な相続権が内縁の妻にはないため、賃貸借契約を引継げません。また、実際の夫婦の場合でも、当該物件が生活の基盤となる居住用のものであることは変わりません。

 

 

居住権というより共有財産を認めた話しになるけれど…

また、通常の持ち家の相続でも居住権という言葉が使われます。

 

 

たとえば父親が亡くなって、妻と子二人が家に残された場合ですが、残された財産は分割協議によって各自の取り分が決まるまで、妻や子など相続人の共有財産となります。

 

 

この共有という所有形態ですが、反意語の単独所有と違って、通常ではあまり馴染みのない所有のカタチを持っています。つまり単刀直入に言うと、共有者は家全体を使えるのですが、持分を越えた分を使用料として支払わなければダメと決っているのです。

 

 

この残された親子の場合でも、支払わなければ不当利益として支払いを命じること法律上は可能なのですが、親の生前から同居してきたような場合は、死んだあとでも分割協議が終わるまでは使用料を払わなくてもだいじょうぶとしたのです(最判H8.12.17)。

 

 

じつはこの判決のあと、被相続人の同居者が内縁の妻だった場合にも、違う相続人からの不当利得返還請求を排除した判決が出ています。最後のはなしは居住権というより、共有財産を認めた話題となりました、非常に興味深いと思います。